記憶喪失の嘘

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4月11日。 今日は入学式。 いきなり恋をした。一目惚れ。 君は決してカッコいいことはないのだけれど、なんかツボにはまってしまった。 今まで一目惚れなんてするタイプではないはずなのだけど。 初めての体験に必ず君と付き合いたい、そう感じさせた。 そして入学式が終了した。 教室へと先生に案内されて入り席を決められたプリントを配布された。 席を確認すると驚いて2度見してしまった。 だって、君の席がちょうど後ろなんだもの。 次の日。 学校へ向かうと君は隣の席の男子と楽しげに話している。 楽しげに笑う姿は良いのだが、話すのはその男子じゃなくて……わた…いゃ、何も言ってないわよ! 何も心でなんて思ってないんだから! その男子じゃなくて私なら…とか思ってないんだから!ちなみに今のも『私』という単語を一人称的意味で使用したのではなく、普通名詞的な意味でつかったのだから誤解のないように。 そして、その夜。ある計画を思い付いた。 君の前で記憶喪失のフリをすればきっと君は構ってくれる。 そうだ、記憶喪失になるにはなるなりの理由があるはず。 そしてその理由次第では記憶喪失だけでなく他にも障害がでるかもしれない。 そうだ! 声が出ないことにしよう! そうすればきっと特別な存在にしてくれるに違いない!
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