記憶喪失の嘘

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次の日。 今までの友達には記憶喪失でないことをばらさないように約束をした。 これで安心。貴方にはバレないわ。 愛する貴方には──。 次の日。 後ろの席からこちらに君が話しかけてきた。 「なぁ、お前って名前なに?中学校ってどこやった?」 その問いに 「名前は北野 沙希。 中学校は、思い出せないの」 と紙に書いた。君は不思議そうな目でこちらを覗いて「どうして?あとなんで紙?」と聞いてきた。 「今年の4月以前の記憶がないの。声も出せないし」 記憶喪失であると答えると明らかに君の見る目が変わった。 作戦。大成功!! 4月30日。 今日は日曜日。 君は記憶が戻るようにとこの町を案内してくれることになった。 君は親切にこの町を案内してくれた。 そして君に 「まだ何も思い出せない?」 と聞かれれば首を横にふった。 当然、全部知っている場所なのだけれど。 5月6日。 入学当初からつけている日記を読んで不可解に陥る。 昨日も君と町を歩いたらしい。 …そんな記憶ない。
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