記憶喪失の嘘

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次の日。 再び携帯がなった。 非通知だった。昨日と同じだ…。 そして電話にでる。 「何か勘違いをしていない?貴方は私の偽物なのよ。」 と相手は言って電話を切られた。 偽物って何? ただ、あの人と友達に…恋人になりたかっただけなのに。 すべては記憶喪失の嘘から始まった惨劇。 あんな嘘、つかなければよかったのに。 これじゃ、まるでもう一人の自分がいるみたいじゃないか! 7月2日。 7時ほどに家に帰ると母は青ざめた顔でこう告げた。 「貴方……今、晩ごはん食べてるじゃないの」 血の気が引いた。 聞きたくなかった。 そして帰る場所を失ってしまった。 家を飛び出すして近くの公園へと走った。 母は追いかけてくることもしなかった。 すると足に力が入らなくなり、さらには全身の力が抜けていった。 そして意識を失ってしまった。
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