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教室を一つ挟んである一組の教室。 階段がすぐ横にあり、朝と帰りは必ず通るクラスでもある。 今日のこの一組。初めて拝見します。 早く早くと急かす千鶴に引っ張られ、やってきた後方のドア。 中を見ると今まで見てきた以上にクラス全体の仲が良かった。 開いているドアから一歩入ると数名が俺たちを見た。 なんだこいつ、と思ってる人が多数いる訳で。 こういう状況になれない俺は少し気まずさを感じていた。 「あれ、千鶴じゃん!」 「おー!久しぶりだな!」 教卓の上で一発ギャグをしていたアシメの奴。 千鶴と一緒でお調子者っぽいのが見て取れる。 お互いに久しぶりに会った知り合いらしく、少し話すと俺の方を向いて指さした。 「こいつ高校で出来た初めての友達。柊羽ってんだ」 「へぇー!よろしく柊羽!俺は大地と一緒の中学の東悠!二文字だからよくアジア系の人間と間違われる。悠でいいよ」 「よろしく、・・・・・・ユウ?」 「はっはっは!恥ずかしがるなって柊羽!似たような名前だな!はっはっは!」 相変わらず千鶴はうるさい。他の人たちもジロジロ見てくるようになったじゃん。 そして本題。悠をこちらに引っ張り、小さく耳打ち。 どうやら奥の最前列の子がこいつの目当てらしい。 明るい茶色のショートカット。茶色のカーディガンがよく似合う可愛い女の子だ。 確かに可愛いなと感想を述べると勝ち誇ったように俺を見た。 「俺が先客だからな!」 別に、狙わないよ。
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