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「おいおい柊羽!さっき涼子ちゃんとすれ違ったぜ!いえーい!」
「おー。良かったね」
あれから五日程経って次の週。
一度涼子ちゃんを見てから千鶴はずっと涼子ちゃん涼子ちゃん。
しつこく、しつこく、何度も俺の耳の前で同じ名前を連呼。
そろそろ気が滅入りそうだ。
一人でも遊びに行ってるらしく、偵察期間は続いてる。
悠とは一度昼ごはんを一緒に食べた。
二人共恋愛経験は高校一年生にしては結構なもので、俺みたいな普通の奴との差を感じる一瞬でもあった。
「そろそろ俺は何か行動に移そうと思う!」
「へー。なに、アドレスでも聞くの?」
「え?まぁ、そのつもり」
「すごいな。頑張れ」
軽い、ナンパ。
流石千鶴先輩。
思い立ったらすぐ行動がモットーといきなり言い始めた千鶴は放課後1組に出撃するらしい。
そして何故だか俺も同行しろと命令された。
一体俺はなんのために一緒に行くのだろう。
「千鶴、俺いらないと思うんだけど」
「はー?涼子ちゃんの周りの女の子でいい子探せよ!そんくらいのチャンスはあるだろ!?お前もさ、はっちゃけようぜ!」
いくらなんでもそれは・・・・・・。
でももしかしたらあの子が見れるかもしれない。
話そうとかは思わない。もう一回ちゃんと見てみたい。
そのチャンスがあるなら、行こうかな
「少しだけならいーよ」
「ははっ、言うと思ったぜ!」
お決まりの肩を叩くという行為。
いつもより少し優しく、千鶴の笑い方がやけにかっこよかった。
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