プロローグ

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空は青くどこまでも続いている、そして風が吹く度に海からの潮風が生暖かく頬を撫でる。 守るべき人と戻れない時間が、足音をたてて去っていく。 5年前、あの事件が無ければ 駄々をこねる勇太を無理矢理にでも連れて行っていれば 大切な物を守ることが出来たのかもしれない。 いつまでも流れる雲を見つめただ漠然と広がる海を見つめ一歩一歩沖に向かい進む 「勇太、今行くからね?よく頑張ったねって、抱き締めてあげるからね?冷たかったよね?寒かったよね?待っててね?」 一歩一歩、終わりのない広い海をただひたすらに一心不乱に歩みながら… 思えば5年前のあの日も今日みたいに晴れ渡った空だった。
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