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はぁ…今日もまた帰宅が遅くなった。会社のビルを出てから…現在21時20分。
ビル街の頭上の暗い夜空には、雲から堂々と顔を出す、丸い月が浮いている。
繁華街の大通りを歩き、人々でごった返す《谷野原駅》の駅ビルの中へ。
快速の発車時刻まであと6分。余裕余裕。
だけど、自動改札機の前まで来た時…。
『ん?あれ?テイカ…えっ?…嘘っ!?』
上着の左ポケットに確認したはずの定期券カード《テイカ》がない!?
上着の内ポケット…パンツのお尻のポケット…鞄の中…必死に必死に探すけど…ない!?
『あっ…あった!!』
上着の左ポケット…じゃなくて、右だった。
《プルルルルルルルル…》
ヤバい!発車時刻まであと1分!
テイカの入った定期入れを、自動改札機にバンッ!と叩きつけ、エスカレーターを駆け上がる!
お願い!間に合ってー!!
『はぁ…はぁ…んもぅ…電車のおばか…』
…私は、自分と同じく息を切らしたサラリーマンと共に…電車を見送った…。
でも次の各駅電車が17分後に来る。仕方ない…待つかぁ。
けれど、ただ待つのでは、その時間が勿体ない。
こんな時はこれ…ってわけで、鞄から《携帯》を取り出す。
そうです。私が使っているのは《スマホ》じゃなくて、使用継続4年目の《携帯》です。
―――
お知らせ >ちづるさんが入室
―――
艶姫|∀・)☆ >ちづるんキター♪お仕事お疲れさまぁ(*´∀`)ノ♪
―――
容疑者R >ばんわ>ちづる
―――
ジェントル杉田 >こんばんは!はにー
―――
ちづる >みんなこんばんは…電車乗り遅れちゃった…(笑)
―――
エアロスミス >お疲れ。>ちづる
―――
艶姫|∀・)☆ >助けてぇぇwエロ杉田がぁぁww>ちづるん♪
―――
ちづる >またジェントルさんに口説かれてるの?(笑)>姫
―――
容疑者Rさんは、《容疑者》と言うほど悪いひとではない。むしろ気の優しい好青年。
エアロスミスさんは40代半ばの、いわゆる《カッコいい大人の男性》。
ジェントル杉田さんは、エアロスミスさんと同年代だけど…面白い人なんだけど、ちょっと《若い女の子大好き》だから、その点だけ要注意。
そして…艶姫。34歳。
あおいが《私のお師匠さま!》だと認めている、謎多き姉御肌の女性。
あの7月の初オフ会デビューから約2ヶ月。
私がオフ会に参加したと知って、一番びっくりしてたのは…艶姫だった。
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