あおいと仔猫と会員ID

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…えっ?『おはよう』って声を掛けたのが、そんなに驚くことだった? 『…ぉ、お姉ちゃん、おはよう…。ちょ、ちょっと…えぇと…だ、大学のサークルのお友達と…お買い物をぉ…』 大学のサークル?入ったの?初耳だ。 『お姉ちゃん…ダイニングに朝ごはん作ってあるから…。んじゃ…行ってきまぁす…』 『うん。行ってらっしゃい。気を付けてね』 あおいはヴィトンのボストンバッグを左手に下げ、固い笑顔で手を振りながら出掛けていった…。 私はそれを玄関先で見送る。 朝からあおい…なんか変なの。 まぁ…いっか。 とりあえずパソコンで《こにログ》でも見てみよっかな。 …また中堅ハッチさんの投稿【助けてあげてください…】がupされてる。 本文確認…本当に切実そう…。 そういえば和弘さんとまおちんが、午前中だけチャットに行くって言ってたっけ。 朝ごはん食べたら洗濯をしてお掃除を…そうだ!その前にシャワー浴びたいな。 朝ごはんと洗濯、お掃除が済んだら、それからチャットを覗いてみよう。 …時刻は19時16分…まだあおいは帰ってきません…。 お昼は冷蔵庫にあったマカロニグラタンをチンして食べたけど…さすがにそれだけじゃ、お腹ペコペコです…。 あおい、早く帰ってきて…。お姉ちゃん餓死しちゃうよぉ。…いいの? 20時56分…やっとあおいが帰ってきた。私は玄関に向かう。 『お姉ちゃん、ただぃまぁ!』 『お帰り…。こんな時間まで、もぅ何やってたの?私、お腹ペコペコよ…』 『えへへ…ごめんなさい。お姉ちゃん、ちょっと待っててね…』 私は見た…あおいのボストンが半分開けっ放しになってたのを…。 そして聞いた…あおいが自分の部屋に入る瞬間に…小さな…。 「んにゃ!」 …えっ? あおいが料理を作り始めてくれた。 その隙に妹の部屋を確認…できないこともないけど、それはあおいに悪い。できない…。 私は怪しまれないように、料理をするあおいの傍(そば)…ダイニングテーブルの椅子に座り、あおいと話をしていた。 もし…だったとしても、あおいが自分から私に言ってくれるまで待ちたい…。 『ご馳走様でした』 『ごちそうさまでした♪…お姉ちゃん、後片付けの前に…ちょっと私の部屋、見てきてもいい?』 『いいから見てきなよ。後片付けは私がやっておくから』 『いいの!?…お姉ちゃん、ありがとう!』
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