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…現在7時28分。今朝はおもちの運動会もなく静か。
そりゃそうだ…朝方まで、あれだけ運動会してたんだから。
そおっと…妹の部屋のドアを開けて覗いてみる…。
おもちとあおいは…ベッドの中で寄り添い、お互いの小さな鼻頭を触れ合わせて眠っている…。
今日は土曜日。けど私は休日出勤。
じゃあ、出勤の時間だから私行くね…と、そっとドアを閉めようとした時…。
『お姉ちゃん…もう出掛ける時間?』
『あ…起こしちゃった?ごめんね』
あおいが私に気付いて目覚めた。
『おもちの世話、朝方までお疲れさま。朝ごはん作ってくれてたんだね。ありがとう』
『そんなの別にいいよぉ。それより、気を付けて行ってきてね。お姉ちゃん』
『ありがとう。じゃあ行ってきます。ゆっくり寝てて』
『うん。ありがとう。お姉ちゃん』
玄関で、出勤用の黒いパンプスを履きながら、妹の部屋に向かって聞こえるように言う。
『仕事が終わったら、カラオケ屋さんに迎えに行くからねー』
「うん」
…あおいの微かな返事が聞こえた。
今夜はHAKUくん&まおちん幹事の、例の《コスプレオフ会》だ。
それで…その前に集まれるオフ会参加メンバーだけで、0次会となる《カラオケ・プチオフ会》をしよう!…ってことらしい。
表に出て玄関扉を閉める。今日は珍しく車での出勤。
さぁて!急いで会社に向かわなきゃ!
…午後も仕事を難無くこなし、事務所の時計を見れば…もう17時10分。
窓の外も、すっかり暗くなりはじめた。街灯の明かりも見える。
私は上司のデスクへ、足早に向かう。
『…竹村課長。今夜は妹との約束がありますので。お先に失礼します。お疲れさまでした…』
更衣室で手早く着替えを済ませ…上司に有無を言わせずタイムカードをガチャンとやって…軽く一礼。
そして同僚の仲間達に、手を小さく振って会社を出る。
会社専用駐車場から、カラオケ店までは…だいたい20分ぐらい。
市内の主要道路は、土曜日にも関わらず意外と空いていた。
車を有料駐車場に停め…横断歩道を渡り…目的のカラオケ店に到着。
店内のフロントでメール確認…部屋の番号は23番かぁ…よし。
《23番》の部屋に入ると、みんなが盛り上がって私を迎えてくれた。
まおちんが【AKB48】の《ヘビーローテーション》を歌ってる最中…私はあおいとまおちんの間に割り込んで座る。
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