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『あおい。17時30分過ぎてるけど行ける?』
『次、私の歌う番なんだ…。それ歌ってからでもいい?』
『うん。いいよ』
あおいはマイクをまおちんから貰うと、立ち上がって目を閉じ…大きく一呼吸。
私は心配やら不安やらでドキドキ。
実姉の私が言うのもなんだけど…妹のあおいは、本当に歌が上手。
だから、安心して見ていられるんだけど…上手だからこそ、不安もいっぱい。
…変な言い方だけど。
歌い始める直前…あおいは照れくさそうに、一瞬笑ってみせた。
《♪If you haven't changed your mind
そばにいてほしいよ Tonight
強がることに 疲れたの
幼すぎたの
Every time I think about you baby
今なら言える I miss you
It's so hard to say I'm sorry…♪》
柔らかくて聴き易い…だけど芯のあるハッキリしたその歌声は、同級生の女の子達から《姫声》と称され、憧れられていた。
本気で歌ってるその純粋な横顔に、いつものおバカなあおいの面影はない。
鮮烈な印象際立つ妹・あおいの歌唱力に、みんな静かに黙って聴き入ってる…んだと思いたい。
『ありがとーう。みんなー』
『じゃあみんな、また後でね』
男性会員達を残し、カラオケ店を出る。
私とあおいとまおちん…そして今回がオフ会初参加だという女性会員は、私の車でオフ会会場まで移動。
今回は女性参加メンバー、全員がドレスに着替える決まり。
だからその着替え時間を考慮して、男性会員達より1時間早く、オフ会会場入りするのだ。
このほしのちゃん…《私はグラビアアイドルの【ほしのあき】の若い頃に似てるから、このハンドルネーム【ほしの王女さま】にした》らしいんだけど…どうだろう…。
正直、言うほど似てない…あっ!
失言ごめんなさい…。
『ちょっと!お姉ちゃん!和弘のお店ってあっちだよぉ!』
『うん。分かってる』
あおいは、今通り過ぎた交差点の左を指差した。
助手席にあおい…後部座席に、ほしのちゃんとまおちん。
娘4人、つかの間の市内夜景ドライブ。
今回のオフ会会場は、和弘さんのお知り合いの経営する《パーティーレストラン》。
ドレスは艶姫の協力で、結婚式場で働くお友達の方にお願いしてもらえることになった。
車を次の有料駐車場に停め…徒歩2分。
到着したレストランのお店の中へ。
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