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私はすぐに席に座り、まずは《視覚と嗅覚》で、そのたくさんの料理を味わった。
『…あおい、また料理の腕が上がったんじゃないの?凄く美味しそうよ』
『えへへっ♪分かっちゃったぁ?♪』
私にとって嬉しいことなんだけど…ここ最近、あおいの料理の腕が急上昇してる。
あおいは《料理のサイトで勉強してる》って言ってるけど…?
まぁ…それはいい。そこじゃなくて、何だか別に気になることが…。
『ねぇ、あおい…もしかしてあんた、また何かやらかしたんじゃない…?』
『えぇっ?』
…それはこの机の上の、たくさんの料理を見た私の、完全な《直感》だった。
急にあおいがそろりそろりと、私の横に椅子を運んできて、その椅子の上でゆっくりと両膝を曲げ、ちょこんと体操座りして小さく拝むような仕草を始めた…?
『お姉ちゃん…ごめんなさぁい…』
『なに?今度はなにをやらかしたの?』
『…。』
『ほーら。黙ってたら何も解らないでしょ。正直に言いなさい』
『…。』
『じゃあ、絶対怒らないって約束するから。だから素直に言って』
あおいが私を、恐る恐るチラッと見た。私はあおいに微笑んで見せる。
『あ…あのぉ…』
『うん。何?』
『じつは…』
『実は…何?』
『…出会い系サイト…』
はぁっ?…出会い系サイト!?
ダメダメ。私…落ち着いて落ち着いて…。
『うん。はい。出会い系サイトね。それで?それがどうかしたの?』
『お姉ちゃんに…内緒で…』
『やってたの!?出会い系サイト!?』
『…ご、ごめんなちゃい…』
遂に私は我慢ならなくなって、大声を出してしまった…。
『はあーっ!出会い系サイトなんて、ただ危ないだけのところなんだから、絶対やっちゃ駄目よ!って私、あんたが中学生の頃からずーっと言い聞かせてたよね!』
一昔前には、出会い系に関わる凶悪事件なんかが、夕方のニュースとかでもやってたくらいなんだから。出会い系は危険なの!…ってのが、私のなかの常識。
『ひぃぃぃ…ぃ…』
『ひーじゃないわよ!あんた何してんの!』
あおいが更に体を小さく縮こませる。
『ぉ、お姉ちゃん…怒らないって約束したのにぃ…』
『あっ!そ、そうだったね…ごめん。あおい…』
…5分ほどの沈黙があって、私はすっかり冷静さを取り戻した。あおいは未だに縮こまり、まだ拝むような仕草を続けている。
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