私・望月ちづる 妹・望月あおい

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私はあおいにスマホを返した。 『じゃあ…改めてちゃんと夕食、食べよっか』 『あ、じゃあお姉ちゃん、先に食べてて。私、髪の毛乾かしてくるー』 『うん。じゃ先に食べてるね』 あおいが洗面室へと駆け戻ってゆく。私は聞こえてくるドライヤーの送風音に耳を傾けながら、料理を箸でつついては堪能した…あおいの腕を振るった手料理は、本当に美味しい♪ それからというもの、オフ会の前日まで私は毎夜…何かを確かめるかのように、和弘さんや他の会員さんとチャットをした。 私の部屋の、デスクトップのパソコンから…。 『お姉ちゃん、ついに初めてのオフ会だね。今夜は気合い入れて頑張ろうね!』 『あはは。気合いってなによ』 時刻は18時47分。エレベーターの昇降室に入り1階を押す。 オフ会の開始時刻は19時30分。 今日は私の愛車…3年前に中古で買った白い軽自動車で、オフ会会場までお出掛け。 オフ会会場である店舗の前の歩道には、既に男性・女性の入り混じった《恋庭》会員の人だかり。 見た感じ…女性会員よりも、男性会員のほうが多いみたい。 『こんばんは』 『ちーづるーぅ!私、ちづるにずっとずっと会いたかったよー♪分かる?私、まおちんだよー♪』 『えっ?…ちょ、えぇっ!?』 …いきなり、派手な服装の女の子に、ぎゅっと抱きつかれる私…。 あおいはというと…《初めての設定》なのに、会員の輪の中をもう飛び回ってる…。 『やべーっ!ちづるの妹さん、めっちゃ可愛えぇぇー!』 『うぉー!マジだー!』 『はぁーい♪そうなんでぇーす♪私、早瀬ヶ池でもよく《君、可愛うぃーね!》って男の人に言われちゃいますー♪えへへっ♪』 んもぅ…あんの、あおいのおバカったら…。 『いいよ。みんな店の中に入って』 1人の男性が店舗の出入口から顔を出す。私はまおちんを脱ぐように振りほどき、彼の前へと歩み寄った。 『あ…えっと、ちづる?』 『はい。ちづるです。あの…和弘さん?…こんばんは…』 『こ…こんばんは』 うわぁ…和弘さん、ほんとにほんとの《爽やか系イケメンさん》だ…。 やだやだ…お願い…落ち着いて私…。 そうだ!こんな時は深呼吸を…。 ひーひーふぅ…ひーひーふぅ…。 あおいの願ったとおり、本当にこのまま私の恋愛が始まってしまうんじゃないか…なんて予感が、ふと脳裏をよぎった…。
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