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…数年後…
「キャハハハ!!」
野原を走りまわる小鬼。赤い髪に赤い着物を来て裸足で走りまわる。
周りには山犬や狼。端からみれば襲われると思うだろうが赤い小鬼は楽しそうに追われたり追いかけたりしている。
「おぅい!樹羅等~!!」
遠くで手を振る人型の白銀の狼。
樹羅等と呼ばれた赤い小鬼は顔を上げ、嬉しそうに駆け寄った。
「なに!?」
足に掴まり、満面の笑みで見上げる。狼は困ったように微笑み、赤い小鬼の頭を撫でる。
「てめぇを修羅っつぅ鬼に預けようと思うんだがよ、てめぇはどうしたい?」
「え…?」
赤い小鬼の悲し気な表情を見てまた困ったように微笑む。
「あんな、お前は狼じゃ無ぇ。鬼だ。あまり、オレ達と居るのは良くねぇと思うんだ。だから、同じ鬼の修羅と居た方が良いって思う」
赤い小鬼の手が、震えるのを感じながら話す。
「もちろん、てめぇが嫌ならいい。そりゃ、見ず知らずの奴だからな、怖ぇと思うだろ?」
「私…は……いらないって…こと…?」
赤い小鬼が震える声で絞り出すように言った。俯いて、着物の端を掴んでいる。
「そういうことじゃねぇよ。てめぇのためを思って言ってる」
「私がっ…嫌って…言ったら……嫌いになる?」
「そんな訳ねーだろ!」
白銀の狼は赤い小鬼を抱き上げて頭を撫でる。
「お前は家族だ。嫌なら嫌って言え」
「………修羅って言う鬼に会ってから決めてみる…」
「そうか…じゃ、今から行くか!」
狼は赤い小鬼を抱き直し、高く飛び上がった。
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