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「腕と足…か…」
赤い小鬼は白い鬼の右半身をみる。腕、足、角が無く、右目は隠されている。
右隣に体育座りをして、じっと観察した。
「何かが欠けてるってどんな気分なんだろ?」
そっと右肩を撫でる。すると、ガシッと掴まれた。
「っ!?」
「急に触るなっ!!」
紅い瞳で射抜くように見る。あまりの恐怖に赤い小鬼は言葉を失う。
「っ…慣れてねぇんだよ……触られるのは…」
ポンポンと頭を撫でてやり、ズリズリ体を引きずり木に寄りかかる。
「なんで触られるの慣れてないの?」
前から抱きつく形で白い鬼を見上げながら聞いた。
白い鬼は頭を掻き、ボソリと呟いた。
「ずっと孤独だったからよ…触られる事なんて無かったから」
赤い小鬼はそれでなんとなく察した。
“ああ、この人も自分と同じなんだ"
と
親に捨てられ、周りには自分と違う者達がいた小鬼。
戦いしか無かった鬼。
形は違えど二人はどこかで孤独を感じていた者達。
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