白と赤

4/5

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/140ページ
「腕と足…か…」 赤い小鬼は白い鬼の右半身をみる。腕、足、角が無く、右目は隠されている。 右隣に体育座りをして、じっと観察した。 「何かが欠けてるってどんな気分なんだろ?」 そっと右肩を撫でる。すると、ガシッと掴まれた。 「っ!?」 「急に触るなっ!!」 紅い瞳で射抜くように見る。あまりの恐怖に赤い小鬼は言葉を失う。 「っ…慣れてねぇんだよ……触られるのは…」 ポンポンと頭を撫でてやり、ズリズリ体を引きずり木に寄りかかる。 「なんで触られるの慣れてないの?」 前から抱きつく形で白い鬼を見上げながら聞いた。 白い鬼は頭を掻き、ボソリと呟いた。 「ずっと孤独だったからよ…触られる事なんて無かったから」 赤い小鬼はそれでなんとなく察した。 “ああ、この人も自分と同じなんだ" と 親に捨てられ、周りには自分と違う者達がいた小鬼。 戦いしか無かった鬼。 形は違えど二人はどこかで孤独を感じていた者達。
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加