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包帯を巻いた女性は体が弱かった。
少女はいつも心配かけまいと必死で明るく振る舞った。
「お母さん!今日は調子が良さそうだね!」
「えぇ…このまま目が治ってくれたら良いのですが…」
「えっ…ぁ…うん……そうだ…ね…」
少女は内心治らなければ良いのにと思っていた。
きっと、少女の瞳のことを知れば彼女が悲しむと思っているのだろう。一族から白い目で見られる自分をどうしても彼女には見せたくなかった。
「治ると良いね!」
このときだけ、いつも少女は嘘をつく。
治らないで
醜い私を見ないで
蔑まされている私を見ないで
少女の願い。
目の見えない彼女は知りもしない。
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