白と白銀

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「で、てめぇの名前は?」 白い鬼が息を荒げ、傷みに耐えているとき、唐突に狼は聞いた。 「てめぇッハァにッ答ハッえ…筋合い…ねぇハァ…」 「そーかそーか……よっぽど傷の治りを遅くしたいらしい」 「すいませんごめんなさい白城紅(シラキクレナイ)です」 狼がグッと握り拳を作ると白い鬼は涙目で答えた。 「紅ねぇ…お前、この森に住め。そうすりゃ狙われねーよ」 「あ゙?名前さえ分かりゃ誰でも来るだろ」 「だから、オレがお前に名前つけてやる」 狼は笑いながら白い鬼を撫でた。 白い鬼は何となく、懐かしい感じがした。 「そーだなぁ…あ、修羅場抜けて来たから修羅!てめぇは修羅だ!!」 「あ ん ちょ く」 「安直の方が良いんだよ!」 「チッ…まあ良いさ。オレは…ここで生まれ変わってみるかな…」
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