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「快く代わってなんかやるか!
あぁ、どこぞの誰かさん達が真面目だったなら考えない事も無いが、やれ朝は低血圧で辛いだ、『朝練してたら疲れて作る体力ないにゃ~』だ、『お弁当作って上げてるのにこれ以上求めるのは――――結婚してからにして』だ、俺に押しつけやがって全員怠け過ぎなんだよ! そして何も悪びれずよく食うし、お前ら身勝手過ぎんだろッ!!」
同然、却下されました。
中羽が口を荒げたのも無理はありません。
なにせ5人で1日毎に交代する当番なのですが、なにかと理由を付けられたりして毎朝中羽が食事を作っているのです。更に最近では、朝早くから行われるラジオ体操に食事を合わせているので、夏休みだと言うのに毎日6時起きを強いられていては我慢の限界です。
朝食作りで溜まっていたストレスをぶつけるように、リリィに当たり散らしてキッパリやらないと中羽は断ったのですが、
「それは無理な話じゃな」
「なんでだよ?」
愚問であろう。とでも言いたげな、透かした表情を浮かべたリリィは中羽にこう尋ね返すのです。
「では聞くが、なぜ在情はそこまで嫌がっていると言うのに最終的に代わっておるのだ? 本当に嫌だと思っておるなら、断固として拒否したり私(わらわ)を叩き起こすなり出来たはずであろう。
なのに、それらもせぬにグチグチ文句を言いながらもこなしておるのは、はてさてどうしてなのだろうなぁ?」
これに対して、「…………」無言しか中羽は返しません。聞かれたくない事を意地悪く突かれたように、中羽の顔は苦々しい表情で引きつっております。
何も言い返さない相手に対し怒る訳もなく、楽しそうにリリィは言葉を続けます。
「体質、なのじゃろ。文句を言いながらも代わってくれおる、断りはしないが小ウルサくなる、そんな半端感丸出しの事を選んでしまう――――のであったな。
ならば、私(わらわ)の体質も分かっておろう。体質上早起きが出来ぬ夜行性である事は言わずもがなじゃ」
だから出来ない。それを否定するのなら、在情自身も半端感という体質を止めるべきだろう。などと、中羽にとって脅迫よりも質の悪い事を言われてしまいました。
『そういう体質なんだよ、だから仕方ないだろう』
あの時そう言っちまったなと、中羽の頭にフラッシュバックする光景はそう昔ではありません。
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