日常、「まぁ多分、貴方が一番の半端者でしょうけどね」

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「こんちゃ~~っす」 そんな声が下から聞こえてきたのは、時計の短い針が頂点を向いた後少し傾いてしまった13時少し前でした。 オフィスビルをそのまま買い取ってしまった不具合で、度々この会社を営業マンや変な客が訪ねる事が時々あるのです。そんな面倒ものが寄り付かないように表にはクローズと記された看板をぶら下げているのですが、それに関せずやってきたという事は。 「あいつか……」 朝から取り掛かっていた作業が終わったと思えば、頭を抱えるトラブルが続くとは……と中羽は思いながら、気だるそうにそう言った後パソコンの電源を落として立ち上がります。 ドタドタドタと自重しない足元が扉の前までやって来たら、キッチンの扉は勢いよく開きまして、 「にょっりーん! 昼飯をたかりにやってきましたぁ~」 「帰れ」 「うわ、即返事がそれっとか傷付くな~。ちっとは美少女の来訪を喜ぶっすよ」 横暴この上ないたかり屋の登場です。 奇っ怪な言葉と共にキッチンに現れた元気のよい彼女は、名を束芽希(つかめのぞみ)と言います。 肩にまで伸びている緑がかった髪をポニーテールにして束ねており、の女子にしては高身長で肉付きが良い元気はつらつな運動娘なのです。今の服装が上下紺のジャージ姿なのは、恐らく陸上部の練習帰りだからでしょう。 自称美少女と名乗るだけあって目を牽いてしまう容姿ではありますが、それに対して中羽は異を唱えます。 「いや少女、お前は良くて中の上くらいで上の下もねぇ。どっちかつうと微少女って名乗るのがお似合いだろ」 「ななな、なんとーーッ!! 高校生の乙女に面と向かってんな事言いやがりますかね。こちとらクラスのアイドル的存在っとして通ってるんすよ」 「お前が? ないない。よくて芸人枠で人気なんだろ」 中羽の暴言に対して「うがーーっ」と両手を上げながら襲いかかろうとする希。確かに「希ちゃんって黙っていれば可愛いのにね」とか「中身が残念だから彼女には……な」等と言われていて、バッチリと図星を突かれていたのです。 高身長で力があるとは言えど、中羽は希の頭を押さえて軽くいなします。暫くは息を荒げながら突っかかろうとしている希なのですが、当初の目的を思い出しまして、
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