日常、「まぁ多分、貴方が一番の半端者でしょうけどね」

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「お腹が空いた、飯を出せー」 「人に物を頼む態度じゃねぇよな、出直せ。つか帰れ」 「お腹が空きマスター。昼食にするにょん」 「馬鹿にしているようにしか聞こえんぞ、真面目にやれ。というか帰れ」 「飯を食べるまでは帰らないっす。もちろん、食べたらすぐお暇(いとま)するっす」 この清々しいまでの変わらない態度に毒気も抜かれ、自暴自棄になりたくなる中羽。これ以上とやかく言うのも面倒くさくなったようで。 「――――分かった、分かった。勝手にする分は認めてやるから食いたけりゃ自分で作れ」 「えー、そこは中羽が作ってよぉ~。料理当番でしょ」 「……朝は作ったけど今日は俺じゃねぇんだぞ。他人に作らせたきゃ上に居る奴に言え、作るとは思えないけどな」 中羽が天井を指差しながら言うと、それを目で追った希は乾いた笑いをこぼした。上の住人が働かない事をよく知っているからこそ、それが無理な話だと彼女は分かっています。 リリィ相手では仕方無いと諦めた希は、溜め息を吐きながら冷蔵庫の前へと移動し、 「私が作るっしかないっすかね~。しゃあなし、こうなれば冷蔵庫にあるもの端からドンドン焼いていくっす」 「オイ、マジ止めて下さい」 脅しました。えぇ、中羽にとってそれは脅迫の他ありません。 経済的にそう豊かでは無い中羽にとって一番の支出は食費です。ただでさえ同居者2名がいるのに、なんやかんや飯時になれば6人で食事をするのが日常になっています。 自分の食費ぐらい払えとは散々言ってはいるもの、はぐらかされたり適当な理由を付けられたりして全てが中羽持ちの現状。特売日に安価な食材を補充してどうにか赤字の数字を減らしているのです。 だと言うのに、「冷蔵庫を空にしてやるにょん」という大暴挙を犯そうとする奴が中羽の目の前に居やがります。これはもう、面倒とか言っている騒ぎではありません。 中羽は希のジャージの襟を後ろから掴んで引き退がらせて、代わりに冷蔵庫の扉を開けまして、 「ったく、毎度毎度世話が掛かる。……冷蔵庫の材料で手軽に作れるもんとなると――――焼きうどんで良いだろ?」 「ソースで作ってくれるっすか? それとも醤油で作ってくれるんすか?」 「俺は大抵ソース派だけど、醤油が良いなら塚芽の好きな方に合わせるぞ」 「じゃあ塩でお願いするっす」 「さっきの2択はなんなんだよ……」
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