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みんな、そんなに私の命に興味があるのだろうかと思った。その時、ふと自分の頬に何か流れている事に気づいた。
私は泣いていた。
死にたいなんて思った事は一度もない。でも、私が「生きている」意味も無いといつも思っていた。
今まで誰からも相手にされず、生きているのか死んでいるのか自分でもわからないような日々を送っていた。
でも今、全国民が、私の命に関心をもってくれている。命が尽きないでほしいと願ってくれている。
ほんの軽い気持ちで行ったテレビ番組の観覧。
そこで私は「選ばれた」事によって、今私の人生は動き始めた。そんな気がした。
私は生きている。そう実感した。これからも生きたい。初めてそう願った。
すると、急に恐ろしくなった。
今まで占いなんて全く信じていなかった。でも今はあの霊能力者の言葉が恐ろしい。私の胸を締め付けていく。
頭の中にあの言葉が何度も聞こえる。
━━あなたの未来が視えません━━
嫌だ。死にたくない。
外からは、頑張れ、頑張れの声が聞こえ続けている。
ありがとう。私は心からそう思った。
時計は、もう午後11時47分を指していた。
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