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13分後、私が死んでいなければ、あの霊能力者の予知は外れた事になる。運命に勝った事になる。
私はもう一度部屋の戸締まりを確認して、凶器になりそうなものは遠ざけて、ベッドに潜り込んだ。
その時だった。携帯が鳴った。それは一緒に番組を観覧した友人からだった。
私を心配して電話をかけてきてくれたんだ。私は独りじゃない。
『もしもし?』
私は電話に出た。
━━大丈夫?━━
彼女の声が私に更なる落ち着きを与えてくれた。
時計は11時55分になろうとしていた。
『うん、なんとか。あと5分、なんとしても乗り切るよ』
私の言葉に友人が返す。
━━……そう。━━、と。
受話器の向こうの友人はその言葉のあと少し無言になった。そして次に受話器から聞こえてきた言葉に、私の身体は震えた。
━━あんたって、ホント昔から空気読めない人よね━━
『ど、どういう意味?』
無理に明るい声を出してみたけど声は震えていた。
そんな私に対して、彼女の容赦ない言葉が私の耳に届く。
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