第一話【選ばれた女】

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そして、日曜当日、友人とテレビ局の前で待ち合わせをした。 友人は、約束の時間より15分遅れて現れた。 そして私達はスタジオへと入った。 観覧する番組の内容を、私は友人から詳しく聞いていなかった。 普段、テレビを視ない私にとっては、内容を話されても、あまりわからないと思い、あえて聞かなかった。 だけど前日、再び彼女から電話があった。 それは今から視る生番組は、非常に人気のあるという事を知らせるものだった。 よく当たる事で有名な霊能力者が、毎回一般観覧者の中から、数名を選び、その人達の未来を予知してくれるという、今最も視聴率のある人気番組なのだそうだ。 何故、彼女はその事を熱烈に語ったのか、すぐにわかった。 番組を観覧できる事は、本当に運がいいらしい。今回のチケットも、何度も抽選にチャレンジして、高いお金を支払ってようやく手に入れたチケットらしい。 ようするに…… 私の分のチケット代は私が払えと言う事が言いたかったようだ。 昨日の彼女の回りくどい話を思い出しながら、私達は観覧席に辿り着いた。 広めのスタジオに設置された観覧席は、50人くらいが座れそうな、ひな壇になっており、もう既に殆どの席は埋まっていた。
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