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友人と私、先に番号を呼ばれた他二名が、スタジオセットの中央に呼ばれる。
何やら仰々しい音楽が流れた後、スモークがたかれる。
スタジオの明かりは一斉に暗くなり、スポットライトが一点を照らす。
すると、ライトの中心に人影が現れる。
再びスタジオに明かりが灯ると、スモークの上に、歌舞伎役者かと思うような派手な和服を着た女性が立っていた。
歳は……70を越えているだろうか。化粧が厚くて、実年齢はわかりにくかった。
彼女の登場と共に、観客席から割れんばかりの拍手と歓声が上がる。その事からも、この霊能力者が絶大な人気をえている事がうかがえた。
司会者が、その霊能力者の名前とこれまでの『奇跡』を紹介する。
彼女がこれまで霊視した未来は、全て当たっているとの事だった。
そして、スタジオ中央に集められた私達四人は順番に占ってもらう事になった。
まずは、5番の番号を持った女性が、その霊能力者の前に立つ。
霊能力者は、5番の女性に触れる寸前の所で右手を大きく広げる。目を瞑って何やらブツブツ言っていた。
その間、5番の女性はじっと黙ったまま立っていた。
しばしの間、スタジオは静まり返っていた。そして、霊能者はカッと目を見開くと、ようやく口を開いた。
『あなたと血のつながった方……ご両親のどちらかしら。あまりお身体の調子がよくないようですね』
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