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私は全く恐怖を感じなかった。実感がわかなかった。
だって今、私はどこも調子が悪くない。
でも、スタジオの全てのカメラと観客の視線が私に向けられている気がした。
生放送で告げられた私の死。私の事なのに、「私」以外の人がまるで自分が死を宣告されたかのような目で私を見ている。
そんな中にいる私は、自分でも驚くほど落ち着いていた。死が怖くないとか、そんな理由でじゃない。
ただ、この「霊能力者」から発せられる言葉に、全く現実味がなかったからだ。
そんな想いを抱いている私に対し、霊能力者はお構いなしに話を続ける。
『でも大丈夫です。私はあなたを見捨てたりはしません。あなたには特別にこのブレスレットをお渡しします』
そう言って持ってきたのは、私の前に占ってもらった人達が受け取ったブレスレットとは明らかに違っていた。
他の人のよりひときわ大きな紫色の石がゴロゴロとついたブレスレットだった。
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