102号室

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「ふふっふぅーん♪もーすぐはーるでぇすねぇー♪ちょーっときどっ」 ピンポーン!! ピンポーンピンポーンピンポーン!! 俺のちょっと大きめの鼻唄をシャットアウトするように玄関のチャイムが鳴った。 「……なんだよ……、超ノッてたのに……」 一人こぼしながら洗濯干しを一時中断し、玄関に向かう。 ブツブツ文句を言ってはみるが、なんせ来客第一号だ。初ピンポンの音に自然と心が浮き立つのも当然のことだろ? なんせ春だし。根拠はないが。 「はいはー……おわっ!」 返事をしながら施錠を解いた瞬間勢い良く外側に引っ張られた玄関ドア。右手をドアノブから放すタイミングを失って一緒になって裸足で玄関の外まで走り出てしまった。 「大変じゃあああ!!大変なんじゃあああ!にいちゃん早く助けてくれ!早く早く早くっ」 「ちょ!え?大家さん?どうしたんで」 「いいから早く来るのじゃ!!」 「ちょ、俺、裸足っ」 萎びてる割には動きが機敏な老人に腕を捕まえられ、俺は五秒後には隣の101号室に連れ込まれていた。
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