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「葵…。」
「さっ!パン買わなきゃ!ここの購買倍率高いよねー」
「うん…。そうだね」
あたしたちが通ってる学校の購買は
パンがおいしいって有名。
朝焼いた焼きたてのパンが食べれるから
あたしも桃花もお気に入り。
焼きたてで味もおいしい
そりゃあ人気になるわけで。
いっつも購買は人の山。
「うわぁ…混んでるよ桃花」
「本当だー。やだなあ…。」
にしても、今日人多くない?
いつもはこんなに居ない気がするんだけど…。
あっ、あと3個しかない!
あとちょっとの所で手が届かなくて
3個しかなかったパンはあと1個になっていた。
「ちょっと葵。そんな必死にならなくても…」
後ろから焦った声を出す桃花。
でもここの購買のパン食べたいんだもんっ。
なんて考えてる内に
人の山はどんどん無くなっていって
ようやく手が届く距離になった。
ひょいっ。
「え…あたしのパン…」
誰かにいいタイミングで取られてしまった。
振り替えって顔を見ると
「の、野々村くん…」
「あ、この前の…」
気まずい。
気まずすぎるっ!
早く逃げなきゃ。
「…っ。桃花!行くよ!」
「え?へ?あ、待って葵!」
ちょっと後ろにいた桃花を呼んで
教室へと駆け出す。
あぁ、もう最悪。
「…パンいいのかな」
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