◇第 2話

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  室内に入り、アレウスはソファーに座り、楓はキッチンでアレウスにコーヒーを入れながら、アレウスが買って来た有名店のキッシュを切り分けている。 この楓と言う女性は、アレウスの妻であり裏闇の帝王の妃と呼ばれる存在だ。 今は諸事情により離れて暮らしているが、アレウスが事ある毎に楓の所に通っている。 「そう言えばアレウス」 「んー?」 「連絡もなしに日本に来るなんて何かあったの?」 楓がトレーにキッシュが乗った皿を乗せながら尋ねた。 少し視線を横にずらした後、アレウスがトレーを持ってこちらに来る楓を見る。 「急遽、纏まった休みがとれたからこっちに来た」 爽やかに嘘だ。 無駄に爽やかに笑うアレウスへ疑いの視線を向ける楓は緩く溜め息をついた。 「…………。 まぁ、いいけど…コーヒー持ってくるね」 皿をアレウスの前に置き楓はキッチンに入って行った。 「そう言えば、楓」 今度はアレウスが楓へ話し掛ける。 「ここら辺で最近変わったこととかなかったか?」 「変わったこと?」 コーヒーを入て戻って来た楓がアレウスが紡いだ言葉に首を傾げ、疑問に思った部分を繰り返した。  
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