◆第 7話

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  その場に近付くにつれ、罵声が聞こえてくる。 「喧嘩…?」 不安げな楓の声にアレウスは進めていた足を止めた。 「…いや、これは違うな…1人の声しか聞こえねぇ。 楓、怖いなら離れてろ」 「…今はアレウスの傍の方が安全だと思う…」 「なら離れんなよ」 そう言って2人は再び歩き始めた。 やがて人集りに辿り着くと、10代半ばの若い男が円の中心で罵声ではなく、奇声のようなものをあげており、アレウスにはその様子が伺えた。 (…あれは…) 若い男の首筋辺りに、見覚えのある傷が僅かに見えている。 それを見るなりアレウスは表情を曇らせた。 (…光引と同じじゃねぇか。 ……あ?) 更にアレウスはある事に気付き、今来たばかりのその場から、楓の手を引いて離れてしまう。 「アレウス…どうしたの?」 一定の距離まで来ると楓が不思議そうに声を掛けた。 そして、人気のない所まで来ると足を止め、アレウスは楓に向き直る。 「楓、今すぐ自分の貴重品があるか確認しろ」 そう言いながらアレウスは自分が持つ、財布や携帯などをポケットから出し、存在の有無を確かめている。  
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