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―― 同日 夜。
自由奔放なアレウスはある高級マンションの一室のドアの前に小さな袋を片手に立っていた。
インターホンを押し、ドアが開かれるのを待っているようだ。
やがてドアが開き、中から日本人で可愛らしい若い女性が顔を出す。
「Ciao! 楓」
笑顔で母国の挨拶をするアレウスを見るなり、楓と呼ばれた女性は目を丸くさせ、とてつもなく驚いている様子だ。
そして、彼女は不意にドアを閉めようとする。
「ちょ、待て待て待て!!」
だが、すかさずアレウスがドアの間に足を入れ阻止した。
「ウチはセールスお断りですっ!」
「おまっ、誰がセールスマンだ! 開 け ろ !」
少しの間、押し問答をしているとアレウスがやる気を出し、ドアを無理矢理開いた。
「わっ!?」
それにより楓が前のめりになってよろめき、アレウスがそれを抱き留める。
「あーもう、負けたー!」
「ははっ、力で俺に勝てると思うなよ。 土産買って来たから一緒に食おうぜ」
何やら悔しがる楓にアレウスは笑い声を上げ、持っている袋を楓に見せた。
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