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シグルドは自分が落ちた場所からの階数を数えていた。
目的の階数に到達すると。
(…23…24…25!!)
構えていた弾丸を指で弾き電気の助力を受けて、弾丸は窓ガラスを貫いていった。
『こちら001、キュイラス。 ターゲットの生命反応が消えたよ、この様子じゃ即死だね』
シグルドが体を反転させて頭からでは無く、足から着地するような体勢になると、また放電がおこり、その体は宙に浮く。
そのまま高度を上げ、先ほどまで居たビルとは違うビルの屋上に下り立つと、イヤホンマイクから先ほどの声が聞こえて来た。
あの一瞬で人を殺めたのだ。
「…了解。 ナビゲートありがとうございます」
そう無線でやり取りをしているシグルドの背後から近付く影。
その影はシグルドの数歩後ろで歩みを止めて、意気揚々とした声で話し掛けた。
「見てたぞ、シグルド」
声をかけられてシグルドは振り向き、その人物を見るなり一度深々と頭を下げた。
「アレウス様、おこしになって居たんですね」
「おうよ、お前腕を上げたなァ」
「はっ。 自分には勿体ないお言葉です」
頭を下げる律儀なシグルドにアレウスと呼ばれた人物は、歯を見せて笑って見せた。
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