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―― 同日 夕方。
買い物から帰って来た2人は、それぞれ思い思いの時間を過ごしていた。
アレウスは何かを考えているような表情でソファーに座り、楓は夕食の準備。
そんな中、インターホンが鳴り響く。
「俺が出る」
楓が動くより早くアレウスが立ち上がり、楓に声を掛け、玄関に向かった。
「へーい。 どちらさんです…か…って、お前…」
玄関のドアを開けると、スーツ姿のシグルドがアレウスに頭を下げていた。
「どうした? お前が連絡もなしに来るなんて珍しいじゃねぇか」
「すみません。 実は…お渡ししたい物がありまして」
「……渡したい物?」
頭を上げたシグルドの言葉に表情を真剣なものに変えたアレウスは、訝しげに言葉を繰り返した。
シグルドは手に持っていたA4サイズの茶封筒をアレウスに差し出し、アレウスはそれを受け取り、封筒から紙一枚を半分まで出し、シグルドに視線を向ける。
「…お前、これは…」
「ジン君からの報告書です。 今回の件に何か役立てていただければ…」
「助かる。 まぁ、立ち話もなんだし、入れよ」
入室をすすめるアレウスにシグルドは首を左右に振った。
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