三橋高校、野球部

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 脳裏にちらつく言葉を振り払い、全力フルスイングのバッターと向き合う。  そして、内角低めに一球を放った。  これも見事な空振り。  ボールの着弾点とスイングの位置は、掛け離れている。ましてや、一番強く打てる所の真芯は、ど真ん中のストライクゾーンに来ていた。  ――もしかして、見てないのか?  あのスイングスピードからして、ぎりぎりで待ってもボールに当てられるはず。それに加え、俺の球速もたかが知れている。打つ事に関しては、容易になっているはずだ。どんなにコースを決めたとしても、この遅さなら――。  ネガティブ思考を止め、俺は受け取ったボールを握る。  たとえ、見ていなくても、見えてなくても、今は敵だ。非情になるしかない。相手が振ってくれるなら、願ってもないチャンスだ。  低めのボール球。  ゆっくりとしたフォームで放った。
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