飽くなき挑戦

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 少しだけ肌寒い季節から、暖かい陽光が窓から差し込んでくる。まだ寝ていたいという衝動を消し去り、ベッドの上から起き上がる。しん……とした静けさが家中を包み込んでいた。この日は、学校も、練習もない夢のような一日なのだ。ただ、俺にはそんな話はない。夢のような土日を邪魔をさせるのは、俺の劣悪な成績だ。今週の土日、練習が休みという話を聞いたのに、担任は丁度、その時に補習を入れるのだろうか。 「先生、もう疲れました」 「日頃の行いが悪いと思え」 「……」  カリカリとシャープペンシルを動かし、白紙のようなプリントに書き殴っていく。下手糞な文字は、辛うじて読める程度で先生は、呆れたような顔でプリントを見ていた。 「そろそろ綺麗に書こうか……汚すぎて読むのが困難だ」 「心の目で読んでください」 「無理だ」  しばらくは、この監禁状態が続くのだろう。読めるか読めないかの瀬戸際で、攻防を繰り広げられながら俺は、拙い文字を羅列させる。持ち前の根性スキルを発動させても、もうすでに限界を迎えていた。  ――――野球がしてぇ……。  補習が終わったのは、午後二時過ぎ。  本来なら、今まで寝ていたはずだった。いや、起きてゲームをしていただろう。有意義な休みでないことに不満を持ちつつ、明日までの課題を手に取り、見ていた。やはり、数学がメインだが、課題の量は大して変わらない。十枚程度の紙が三セット。それまで手にとっていた課題を机の上に置き、グローブと硬球を持って家を出ていた。  向かった先は、ハルの家。一人より二人の方が楽しいに決まっているという自論を立て、インターホンを鳴らした。数分後には、ハルが家の前に現れた。 「どうした、サワ」 「野球しようぜ」
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