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「ハルは部活見に行かねーのか?」
「見なくたって俺は、もう決まってるよ。そーだろ? サワ」
「あぁ、もちろん」
きっと、野球部だ。
もちろん、俺もそのつもりだ。
身長の高い奴らは、歩いていても先に行ってしまう。
「早く大きくなりたい・・・」
そう呟くと、金属バットならではの音が響いてきた。
ベンチ横には、制服姿の新入生らしき人が居た。
彼らも俺と目的は同じだろう。
監督らしき人に一礼し、背の高い新入生の前に陣取った。
「あれ、お前・・・・・・」
肩を叩かれ、振り返ると・・・・・・知らない奴らばっかりだった。
そのくせ背が高い。こっちの身にもなってくれよ、首に負担が・・・
「もしかして、澤本選手の・・・?」
「まぁ・・・・・・そうだけど・・・」
俺の家族は、みんな野球をしている。
中でも父親の澤本勲は、プロ野球選手。今はベアーズに在籍。
母親もよく助っ人で草野球チームに出ていたりする。
弟も中学で野球をしている。
「・・・俺、高島康弘。よろしくな!」
「あ、俺は菊地博人」
「マサキな、西沢正樹な!」
・・・・・・
一斉に声を掛けられて把握することは出来なかった。が、みんな詮索しないでくれたのは、ある意味よかった。
「俺は澤本康平。サワって呼んでくれ!」
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