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その日の夜、夕飯を村長に誘われ二人は村の中心である広場に着ていた。 村長だけでなく、村人もたくさん来ていて、わいわいと賑やかな時が過ぎていく。
「旅人さんは、どうしてこの村へ?」
そんな中、村長がオルレインにそんな質問を投げ掛けた。
「いや、特に目的があった訳ではないのだ。 道に迷って困っていたところ、ここに村がある事を教えてもらってな。 それでこの村へ訪れた次第だ」
「ほう、それはそれは。 是非ともこの村でゆっくりなさるといい、村の皆も喜びますでの」
「いや、物資の補給が出来れば、明日にでも出発するつもりだ。 私達はより多くの国へ訪れ、より多くの知識を学びたいのでな」
「そうですか……、いやはや残念だ。 では、明日までゆっくりなさるといい」
「ええ、そうさせていただこう。 ……ジークリンデは酒が飲めないものでな、酒は私が付き合いましょう」
村の子供達と戯れているジークリンデを目で追いながら、オルレインは村長と酒を酌み交わす。
その後二人が宿に戻ったのは夜遅くで、ジークリンデが久々の風呂を楽しんでいる間にオルレインは眠りに落ちてしまった。
その後気の済むまで風呂を楽しんだジークリンデが風呂から上がり、交代でジークリンデに起こされたオルレインが風呂に入る。
その後風呂から出たオルレインは、既に眠ってしまっているジークリンデと同じベッドに入ると、その頬に口づけしてから同じく眠りに落ちる。 その表情はどこか満足げだった。
それから数時間後の深夜、異変が起きたのはその時だった。
「……?」
まず最初に異変に気付いたのはオルレインだった。 すぐさま起き上がると、ベッドの脇に立て掛けてあった直剣に手を伸ばす。
そのまま部屋の入り口の前に立つと、直剣の柄に手をあてながら低く呟いた。
「……何者だ? こんな夜更けに四人も私達に用があるとは思えんが」
沈黙。 長い長い沈黙。 あわよくば杞憂であったとでも思わせたいのかもしれない。
オルレインは息を殺し、全神経を目の前の扉へと傾ける。 他に出入り口はない、ここは二階ゆえ窓からの侵入は気にせずともいい。
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