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「は、話すから! だからその剣を下げてくれ……」
懇願されるがそれは出来ない相談だ。 隙を見て組みつかれれば、オルレインでも振りほどくのは辛い。 そうなった場合は、ジークリンデを起こすしかないのである。
「それは無理だ。 だが、あなたが下手な真似をしない限りこちらは危害を加えない。 これ以上問答するつもりならば、あなたもとりあえず眠ってもらう事になるが?」
「わ、分かったそのままでいい!」
「よし。 それでは話してもらおうか……と、その前に他の奴等を縛っておくか」
持っていた荷物の中から縄を取りだし、三人まとめて縛り上げる。 意識のある男性も観念しているのか手は出してこなかった。
数分後、三人を縛り上げ部屋の隅に移動させたオルレインは、部屋で男性と向かいあっていた。
オルレインが椅子に座り、男性が正座させられている状況である。
「まずは、そうだな。 何故私達を狙った? 簡潔に答えろ」
「……領主の、命令で」
「領主? それでは、私達を捕らえてその領主の所へ連れていこうとした訳か。 何故だ? 金でももらえるのか?」
「そんなものもらえるわけない!」
急に男性が怒鳴った。 オルレインが反射的に剣を突きだし、すぐに黙り込んだが、その表情には怒りが見え隠れしている。
「……話を、聞いてもらえるか?」
「? ……いいだろう、どうやら私達を襲った事と関係あるようだしな」
「……ありがたい」
そこから男性は正座したまま、どこか悔しそうに話を始めた。 その話をまとめると、こうだ。
一ヶ月ほど前、村に突然魔法士の男が現れ、村を占領した。 村には魔法士などおらず、抵抗した者は残らず殺されたという。
それからその男の独裁が始まり、今回オルレイン達を襲ったのもその男の命令があったからだという。 夕飯の時に二人を見て、大層気に入ったそうだ。
「……ふむ。 なるほどな」
「……あんた達を連れていかなきゃ、俺達が殺されてしまうんだ。 頼む、助けると思ってついてきてくれないか……?」
「……無理だ。 ジークリンデを危険に晒すわけにはいかん」
「そう、か。 そうだよな……おかしいのは俺達だ、すまない」
「わたくしは構いませんよ」
「え……」
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