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「20世紀の人達って、今世紀はさ、巨大ロボットとかアンドロイドが街を闊歩して、自動車が空を飛んだり、透明のチューブのような通路を電車が走ったり、月に住めるように成るとまで考えていたんだ。
でも世紀を跨いで僕らが生まれて13年経ってもフィクションでしかないんだ。
映画と言う物はさ、そういう人の想像を自由に表現出来るドリームメディアなんだ。
昔も今も、そして・・」
恍惚な表情、身振り手振りも大げさに、永遠に喋り続けそうな想一をうんざりしながら眺めていた。
でも生まれて初めて出来た生身の友人である想一の話を聞くべきなのか、どこで止めるべきなのか真帆は迷っていた。
その時、想一のマルチメディア携帯端末がロードショー中の映画音楽を奏でた。
(うわ・・恥ずかしいよ、こんな所で、回りが皆んな注目してるヨ)
ハンバーガーショップでラージサイズのシェイクを飲みながら真帆は辺りの人の目を気にして下を向いた。
その時ヘッドホンからアンディーの声がした。
「真帆、つまらなそうだったので想一の端末にブルーパス経由でアクセスしました。
映画の話になると止まりませんから」
小さな声で「ありがと」と言って、不思議な顔をしながら端末をいじる想一に、
「それで、今日はウチに何を頼むのかな? シェイクの見返りに?」
今日は学校は休み。寮の部屋でパソコンをいじっていた真帆を、
「ピーチシェイクを奢るから学校を出て生き抜きしよう。お願いも有るしネ」
と言われ、シェイクに釣られてノコノコ付いて来た自分も悪いが。
永遠と続きそうな映画の話を何時までも聞ける程、真帆は映画好きではなかった。
「ああ済まない、誤作動かな?
そう、真帆に落として欲しい映画が有るんだ、僕じゃぁ探せなくてサ。
お願いだ真帆、前金のシェイクはもう飲んだから、成功報酬はハニーピーチパイと桃シェークで!お願いします。」
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