第一世 ロストキャンセル

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「だから焦ること無いんだって。焦っても何の解決にもならないでしょ? それは置いておき、このまま待ってましょ」  そう言って彼女は近くの椅子に腰掛けしゃべり続ける。 「無くしたのは財布でなかなか見つからない。つまりもう誰かが拾っている可能性が高い。そこで、財布を拾った人が『目の前で死んだフリをするとそれを真に受け焦る素振りを見せるような純粋さを兼ね備え、なおかつ道端に捨てられた可愛そうな仔猫にそのつぶらな瞳で見つめられると絶対見捨てられないような優しい人』なら、受付カウンターに持っていくなり対処するかもしれないけど、『とても金に汚い極悪人』なら… … 」
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