第一世 ロストキャンセル

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 この琥珀は魔術師の持つ天然の魔法源のように、空気中から魔法の発生要因である〝魔力の素・マナ〟という物質を吸収する性質がある。  現段階ではまだ研究中のこの琥珀には一つの性質を形のあるスキルとして保存できるという事が判ってきている。ある意味固定された性質を持つ魔水晶のような物質と謂える。  いや、魔水晶ほどの出力ではないがその容量を超え複雑な情報を表現できるという記憶素子の集まりである。例えばある技術者の報告書には書き込める情報量がグラム単位256MB程であると明記されている。  古代の特に小規模の民族はこの性質の初段階をいち早く理解及び利用していたらしく、その古代都市の石盤から『紺碧の琥珀は天命をも匿う』という言葉が刻まれているものが見つかっている。  考古学者たちはこういった利用方法などから魔力を称えた風習と考えている。そして何か大きな不安があったのか、この民族は石盤の不思議な力を借りてスキルを生み出しては身に着けるという風習がある。
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