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大地に聳え立つ大きな樹、ユグドラシル。その太い幹の周りには街があり、人々が豊かな暮らしをしている。
周り近くの山などの麓には小さな村落が点在し、緑が生い茂る大地には様々な生き物がその生きざまを強く魅せている。
そんな見所のある巨木を中心とした街並みから南方へ一里離れた所に潮風が吹く村がある。
東は入江になっており西方向に目をやると、交易の盛んであろう海に面した拠点が広がりたくさんの船が停泊している。やはりあの巨木も強く印象づけられている。それに次いで幾つかの立派な風車が風を受け大きく回転ている。
そんな風景には蒼穹の海と空を眺めているかのような大きなギルドが堂々と立っている。そしてそれを、額に手を当て見上げる一人の少女には思わず〝キレイ〟という言葉が思い浮かぶ。
微南の黒きヘビイチゴの伝承、交易の拠点を代表する冒険者ギルド。ここが──
「スヴァルトオルム」
彼女はギルド名を呟くとそのままキャリーケースの柄を握り前に進んだ。
まるでバイタリティに満ちたこの土地を、一歩一歩大切に踏み出していくかのように… … 。
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