第一世 ロストキャンセル

21/96
前へ
/96ページ
次へ
「この方は命の恩人なんだミャ」  白猫アルバはそう言うと組んでいた腕をほどきペコリとお辞儀をした。  逆に今度はアルバがカルボに何の集まりかを問い質す。  状況を理解したのだろうか、いつの間にかアルバに命の恩人と慕われていた少年はアイレスタの方へ左の手のひらを向けるとそこから黄色の六芒星(ヘキサグラム)が展開した。 「カバンから検出されたマナの魔法数値(スペルバイナリ)は実に32・48MP、これは今までに何らかの衝撃によるものと推測し、さらにこの数値から逆算し得られる最終魔力照射推定時刻は今から約十八時間前、これは前日午後二時頃のものということになる。続いて一瞬の隙もなく本人に気づかれないように、それもあたかも生き馬の目を抜くかの如く盗むというのもまぁ~無理であろう。つまりこの手掛かりだけでは事件性はかなり低いことになる」 「魔法陣… … ! しかも… … 推理!? しかも長い!」  そしてアルバは謎めくリーミスたちにこの少年について体験談を詳しく話し出した。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

104人が本棚に入れています
本棚に追加