第一世 ロストキャンセル

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「見ての通りこの布には多くの土が付着している、それも汚れた大剣を拭いていたためである。さらに魔法で分析するとあきらかに土と磁気の比重が違いすぎるのが判る。これは鉢植えの成分に匹敵する割合だ」 「何その魔法、さっきから黙って見てるとあり得ない事だらけじゃない。聞いたことないじゃん」  リーミスは少し頬を膨らまししかめっ面を見せる。 「おいおい同じ魔法使いの分際が何をおっしゃる!?」  妖精の具現魔法を駆使するリーミスには聞いたことのない魔法だった。 「これは単なる魔法分類学における一なる術式内の相対的物理を再考慮した魔法の応用だ。プリンに醤油を掛けるとウニの味になるやつみたいなものだ」 「は… … はぁ… … 」  素の自分を見せつけないログからはようやく緊張が溶けてきたようだ。 「まさか君がその事件の被害者だったなんて… … な。因に事件性は低いだけで全くないとは言ってないよ。マホウはすべて、ケースバイケースさ」  それにしても災難だな、と心で思ったログであった。泣きっ面に蜂、いや、泣きっ面に鉢植えである上に財布の紛失。 「全然上手くねーんだヨ!」
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