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何? このそこはかとない気分の高揚感。面接を受け→即日合格し→研修クエスト。殆どあいさつをした程度で済んだ。
ギルドの奥の部屋から出てくるのはサラ。もうこの冒険者ギルド・スヴァルトオルムの名簿にサラ・メリスの文字が刻まれた。
彼女は久しぶりの安心感に浸り、その一人の〝人生の地図〟が未来へと広がっていった。
しかし、サラには急に、いきなり、最初の試練が訪れた。その奥の部屋から顔を出し扉を閉め、前に振り返ったその瞬間の出来事だった。
──。
その時、サラは一瞬辺りの音が遮断されそこはかとない恐怖の絶望感が襲った。すぐ隣に感じる気配から漂うものは荒ぶ風圧、唸る咆哮、これは… … 紛れもない、まるで悪夢。
「きゃあああ!」
何か大きな影が音を立ててギルドの奥の方へ飛んできたのだった。飛竜か、猛獣か、この辺では闘技場でしか見かけないはずの獣が飛んできたのだった。
その獣は勢いが余ったのか、ギルドの奥の壁にぶち当たり、そう、サラのすぐとなりに立ちはだかっていたのだ。もともと小さなギルド故、外で見るものよりも大きく見えた。そしてそんな獣と目を合わせてしまった。
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