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『何だ、この光?』
この時の黄色の光を浴びたアイレスタは微かに魔力の質を身体を通し〝心〟で感じていた。幼き頃から日々剣術を心得てきたアイレスタ。
魔力に殆ど縁がなく生きてきた。況してや簡単な魔法陣ですら描き出せないという魔法オンチ。唯一自分に合う魔法こそがこの大剣。そんな彼にとっては今までにない不思議な感覚を覚えることとなった。
──ここは天界、仲間との共闘の末、静まり還った黄金の野原に何故かたった一輪咲きだした黒い花。その謎の黒い花の如く、自分が美しく〝魔力〟で充ちている。
そんな光景が主観的に記憶のようなものとして浮かんだ。すると落ち着いた少女の声で一回だけ何かが聞こえた。
『コ・ク・ソ・ウ・ビ』
頭の中で確かにそう聞こえた。アイレスタは皆の表情を計らうと自分にしか聞こえてないのかと思い留めた。
ではこれは一体何だったのだろうか。アイレスタは一人身震いをしていた… … 。
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