第一世 ロストキャンセル

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 今頃気付いても遅いのである。辺りには獣の尾で付いた壁の擦り傷や大剣を降り下ろしたときの床の切り傷など酒場の一角が半壊状態だった。と言うのも、ソルが入ってきた所は酒場の壁に空いた大穴。  とりあえずソルは獣を連れてその場を去っていった。サラは魔導狩猟を見たせいか、自分に自信が持てなくなった。 「あ、あのわたし、みなさんに追い付けそうにありません。え、だってみなさんのように魔法使えないし」  ──わたしはこの時、魔法を知らなかった。そう、最初の試練は今の魔法を知らない事に対しての恥じを知る事だった。はぅ。 「魔法? この大剣の事か?」 「それらは圧縮された魔法だ。体内に魔法源がない者でも魔法が扱えるただの道具だ。… … 魔導具(マナツール)を知らないのか?」  ログはサラに説明すると、サラは近代化の波に晒され魔法の手軽さに呆然としていた。田舎住まいのサラには届かなかった魔法道具の存在。
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