始まり

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俺たちは基本的に寮生活を送っている。 学校が山奥にあるからだ。夏になると蚊との闘いが辛いのだが。 だから、長期休暇に入ると多くの生徒が実家に帰る。 今日はテストも終わって軽く夏休み気分だった俺たちに教師から 区切りをつけるための集会、終業式があった。 大した中身がない校長の話を聞き、いや聞いてないけど。 途中から、脩平とラインしてたし。 「脩平。眠い」 「同じく」 「だよねー」 「もうすぐ、終わる。耳栓しとけよ」 「忘れてた。あんがと。命の恩人だわw」 「ばーか」 本気で忘れてた。マジ真剣に脩平に感謝しないとだな。 耳栓。もといイヤホンのゴムの部分だけど。 密着していい感じに音が遮断される。 お、終わった。校長のどうで、いや素晴らしいお話が終わった。 同時に周りでもザワザワと動きだした。あれだ。嵐の前触れだ。 校長と入れ替わりに会長が、生徒会が壇上に上がる。 でた。嵐が。台風が。災害が。 と、同時に歓声もあがる。男のくせにどっからそんな声出してんのか不思議な高さの音も僅かに聞き取れる。 大半は野太い感じの声なんだけどね。つか声大きすぎて空気がビリビリしてんよ。 わー。すごい。 「静かに。」 鶴の一声とはまさにこのこと。 会長が言った途端にこの静けさ。校長が喋ってた時より静かだ。 あの時なんて、多くが夢の世界に旅立ってたのに。 「生徒会からは夏休みでの寮の過ごし方の諸注意がある。一つ目にーーー・・・」 この先は寝ていた。 どうでもよかったし。後で、脩平に聞けばいーや。 起きたキッカケは生徒のお見送りの声援のこれまた振動だった。 生徒会が居なくなり、生徒たちがざわつきだすともう特に何もないのかお開きになった。
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