おまけ1

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彼女の手を包み込んでいた手を、逆に彼女の手が両手で包み込んで、伏せていた視線が再び馳那に向けられる。 真っ直ぐな黒耀。 「…………何の報せもなく家出した家に帰るんです…………しかも……」 「子供が居て、その子供の父親は俺だ」 口ごもる彼女の言葉を繋げて言えば、彼女の綺麗な黒耀が揺れて、握る手に力が籠った。 「大丈夫。 俺の方が緊張してる」 言って、彼女の手を自分の左胸に押し付ける。 そこから伝わる鼓動の早さに目を見開かせた彼女に苦笑して、馳那は更に彼女の両手を持ち上げて、唇をおしつけた。 「…ふふふ」 やっと笑みがこぼれた彼女に安堵して笑い合う。 「…………馳那?なにしてんの?」 再び呼び鈴を押そうとしたところに、背後から自分と良く似た声がかかり、彼女と二人、馳那は肩を大きく震わせた。
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