おまけ1

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ぎこちなく振り向けば、そこには自分と全く同じ顔をした弟が訝しげな表情で立っている。 「…やぁ、真茅…。ただいま」 張り付けたような笑みで答えれば、真茅の視線は、自分のとなりで身を固まらせている彼女に向いていて、その後ろ姿に見覚えがあったのか、やがて真茅は目を見開かせた。 「香椎?!」 呼んで振り向いた彼女に、更に真茅は表情を明るくさせたが、彼女の全身に視線を動かしたあと、指を絡ませて手を繋ぐ馳那と香椎に気付き、身体の動きを止めた。 「えぇぇぇぇぇぇーーーーーーーー?!」 持っていたスーパー袋を盛大に地面に落とし、青ざめた顔で頭を抱えたいる。 グシャリ音がなって、玉子が割れたのだろう事が推測された。 そんな弟の様子を見てから、馳那は真茅が落としたスーパー袋の中で割れてしまった玉子に同情する。 帰宅早々に面倒くさいやつに捕まってしまったと、深く息を吐き出して、真茅の様子に慌てている香椎を見て込み上げてくる幸せに小さく微笑んだ。
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