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「義母さん…あんまり虐めないでやって…」
馳那がそう言えば、目の前の義母は呆れた様に溜息をついて、チラリと実の娘に視線を向けた。
「子供がいるって?」
「……そう、俺と香椎の子」
「はぁ……開きなおっちゃって…」
頷いた馳那に、義母は更に呆れた様に溜息を吐いて頭痛がするのか、こめかみを指でもみ込む様な仕草をする。
「香椎」
母親に呼ばれ、更に脅えた様に身を固くした香椎が、馳那の服の袖を握り締めながら恐る恐る母親に視線を向けた。
「義母さん」
「馳那は黙ってなさい」
咎める様に声を出した馳那を制して、鋭い義母の視線が香椎を射抜く。
「香椎、一つだけ良いかしら?」
「……っ…はい」
厳しい声が香椎に向けられ、馳那の服を掴む香椎の手に更に力が籠る。
立ち上がる母親の気配に、香椎は固く目をつむり、肩を強張らせて身を引いた。
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