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「…セレスが来て、もう半年か」
「なんですかぁ、ヤブから棒にー」
わたしがハーブティーの入ったカップを渡しながら、村長はそれを受け取り、ありがとうと返す。
老眼には程遠い、シッカリとした目付きの御年104になる村長、ラルドはハーブティーの香りを嗅いでいる。
ラルドの表情が若干、驚いたものに変わった。
「今日はカイディアの紅茶だね?」
「ええ。今年最初のつみたてですよ」
「これは驚いた…。そろそろだとは思っていたが…なるほど…」
感心するように、ラルドは一口紅茶を含んだ。
「…摘み時期が変わるだけでこんなに味が違うのか…」
「このあたりだと、もう少し遅めに収穫してるらしいですね」
わたしは苦笑いをこぼし、用意しておいたマフィンをテーブルに置いた。
そしてラルドと向き合う形になる椅子に腰掛けた。
「うむ、1週間程度の差だが、これは明日あたりには収穫したほうが良さそうだな」
ラルドは嬉しそうに頷いた。
それに賛同してわたしも、大きく頷く。
「摘んでからしばらくは、味は保たれると思います」
「…ということは」
わたしはラルドの言葉に再び頷き、話を続ける。
「はい、市場へ出すことも可能かと」
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