成功の裏は失敗。

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また一人、破壊に耐え切れずに死んだようだ。 何も今の叫び声が壁越しだとか、目の届かない範囲で聞こえたわけではない。むしろ目の前で子供が身体の奥底から捻り出した苦痛の叫びだ。 俺は、固く目を閉じていた。だから見えなかった。違うな。見なかった。 目を開ければきっと、禍禍しい魔法陣の上で全身から血を出して死んでいる子供を見ることが出来るだろう。そんなものを、誰が好き好んでこんな光景を見たがるか。 これが見たがる奴が実在するんだな。魔法使いには、頭の狂ったような、理解出来ない人間が少なくない。 耳をすませば、興奮で荒くなった息遣いが聞こえる。それも数ヵ所から。 「また失敗か」 掠れた老人の声が小さな部屋に響いた。その声には落胆の意が含まれていた。 「遺体を運び、次の子供を呼んでください」 今度は若い青年の声。こちらはあまりにも無機質的だ。目の前で起きた惨劇を、何とも思っていないような。 しばらくして、次の子供――犠牲者と言うべきか――が入ってきた。
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